翌日・・・・・ 俺たちは話のとうりエルリダの森に来ていた。

「ここが・・・エルリダの森・・?」
「だね」
「うわ・・・こっえー・・・・」
「でしょ?」
「でも、楽しそうだな!行こうぜ!」
「え、ちょっと!」
確かに森は不気味だ。薄暗いし、空気がよどんでる。

マリスが怒るのもわかる。俺もちょっと怖いし。
だけどそれ以上にすっげーわくわくする!!
だって俺にとっては初めての冒険。始めての旅。
怖いとか不気味だとか、そんなのよりどきどきして楽しい!
「もう・・ロイドったらなんであんなに元気なの?」
「村から出るのが初めてだから見るものは何でも面白いんだろ」
「そっかぁ。じゃあマリスも楽しんでいこーっと!!」
「あぁ、そうだな。」


森の中に入って約半刻。
全く進まねぇ。
というか進んでいるのかもしれないけどわからない。
風景が変わらないんだ。
「あれ、人だよ」
「道、尋ねてみるか?」
「いや、やめたほうがいいな。盗賊の可能性もある」
「そうなの?」
「あぁ」
レイソルってこんなときでもよく頭が回るよな・・・・
だから頼りになるんだけど。
「とりあえずここから様子をうかがおう」

「うん、そうだね」
よく分からないけど二人が言うならそのほうがいいんだろうな。
そうするか。
「あーあ。王も国民も馬鹿だよなぁ」
「おいおい、そんな事言うのやめろよ。こんなところで」
「でも本当だろ?俺たちが騙してるとも知らずに」
「まぁ、騙されるほうが悪いしなぁ」
王と国民を?騙してる?
誰が何について話してるんだ?
これが盗賊なのか?
俺にわかるのは、ばれたらただじゃ済まされなさそうだって事だな・・・。
出て行かなくてよかった。
「おい、そろそろ行こうぜ」
「そうだな。あんまりもたもたしてるとサミュエル様に怒られちまう」
「あぁ。あの人、怒ると怖いからな」
サミュエル・・?
どっかで聞いたことある名前だな。
・・・・誰だっけ?

「サミュエルって・・・クレアーラ騎士団の団長じゃない?」
サミュエル・・・・クレアーラ騎士団・・・
村に来てくれた奴、確かサミュエルって言ってたな・・・
「だが、クレアーラ騎士団は王都を守る騎士団だろ?」
「う〜ん・・そのはずなんだけど・・・」
「同じ名前の別人なんじゃないか?同じ名前の奴なんて何人かいるだろ」
「でも騎士団の中に"サミュエル"なんて名前そういないよ」
「そうか・・・。いや、でも・・」
認めたくない、というのが本心かもしれない。
俺が旅に出た理由で、俺の憧れのクレアーラ騎士団。
しかも俺たちの村を助けてくれた。
そんな奴らが裏で悪いことをしてるなんて考えたくなかったんだ。
「まぁ、二人とも。何も今ここで結論を出さないといけないわけじゃない」
黙り込んでしまった俺とマリスになだめるようにレイソルが言う。
「これから旅をしていって、確かめればいいんだ。」
「レイソル・・・・」
「うん。そうだね」
「そのためにはまずこの森を抜けることだ。急ごう」
「よし、行くか」
三人でうなずきあうと俺たちは
さっき来た方向とは反対の方向へと向かっていった。
森へ入って随分経ったと思うのに、一向に森の外へ出る気配は無い。

むしろより薄暗くなって奥にはいっていってる気がする。
「くそっ・・さっきから魔物多すぎだろ・・・」
「本当だな。そろそろ抜けないと俺たちの体力も危ない」
進むにつれて魔物は強くなって、さらに数も多くなっていった。
魔物達とずっと戦ってきた俺たちの体力はもう限界・・・。
「あ、そういえば・・・・二人とも、こっちに来てもらってもいい?」
「いいけど・・・?」
俺とレイソルがマリスの周りに集まるとマリスは持っていたワンドを地面に刺した。
その瞬間、マリスの周りに魔法陣が現れたんだ。
「!?」

「生命の恵みを・・・・ワイフマライア」

マリスがそう唱えると魔方陣から光が出た。
なんだこれ・・?
「よし、おっけーだよ!」
「マリス、今のは・・・」
「今のは回復陣術っていうんだ」
「かいふくじんじゅつ・・・・?」
「うん。ほら、マリス魔法が使えるって言ったでしょ?あれなんだ」
「陣術か。陣術使いは魔術を使う奴らの中でも珍しいな」
「そうなの?マリスは回復は陣術。攻撃は普通に魔法なんだ」
レイソルとマリスの会話の内容が全く分からない。
とりあえずマリスは陣術が使えるらしい。
その証拠って訳じゃないけど、マリスから陣術をかけてもらった俺たちの体は
さっきとは比べ物にならないほど軽くなっていた。
これで先に進める!俺たちはまた、森の中を進み始めた・・・―――





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