「・・・」
マリスの言葉に俺とレイソルは黙った。
でもしばらくして俺はあることを思いついたんだ。
「なぁ、マリス」
「?」
「一緒に旅に出ないか?」
「えぇっ!?」
はじかれたように俺の顔を見るマリス。
驚いたのかレイソルも見ていた。
「ほら。今まで動けなかったならこれから動けばいいだろ?
一緒に行こうぜ!!」
「でも・・・・」
「それにさ、マリスの力が必要なんだ。
頼む。一緒に来てくれないか?」
マリスはうつむいて、しばらくそのままだった。
たぶん迷ってるんだろう。
ちょっとしてから何かを決心したように顔を上げる。
「ロイド、マリスもついていっていいかな」
「もちろんだろ!」
「ありがとう!ロイド、頑張るね!」
俺はマリスと一緒に旅が出来るのが分かって二人で盛り上がった。
旅に出たら何がしたい、とか何を食べたい、とか。
でも何か忘れているような・・・
「・・二人とも」
「「へ?」」
「盛り上がっているところ悪いんだが俺のこと忘れてないか?」
「あ。」
すっかりレイソルのこと忘れて勝手に決めちゃったけど・・・
「駄目かな」
「駄目だ・・・・なんていうわけないだろ」
よかった!レイソルも賛成してくれたみたいだ
「ありがとう!レイソル!!」
マリスはうれしそうにぱぁっと笑った。
仲間が増えるのは全然悪いことじゃないしな!
「マリスはどんな能力が使えるんだ?」
「ん?えっーとね・・魔法かな。回復が特に得意だよ」
「魔道士か。俺もロイドも接近戦タイプだからちょうどいいな」
「よかった!あ、でもまだまだ未熟だから・・・
だいぶ頼りないと思うよごめんね」
「それは俺達も同じだ。問題ない」
マリスは魔道士なのか。そんな人ははじめて見る。
どうやって魔法を出すんだろう。今度聞いてみるか・・・
俺は指輪について気づいたことがいくつかあった。
一つ目は持ち主によって宝石の色や形が違うということ。
二つ目に指輪によって使える力みたいのが違うらしい。
俺とレイソルは力があがったし特殊な技が使えるようになったりした。
でもマリスみたいに魔法を使えるようにはならなかった。
ほかにも俺とレイソルで違うこととかあるし・・・・
やっぱり指輪で使える力には個人差があるらしい。
なんでだろう?
「ところでロイドとレイソルはこの後何処に行くつもりだったの?」
「え?特に決めてないな・・・とりあえず騎士団の本部を目指していくけど」
「そうなんだ」
「普通に行くならエルリダの森を通ることになるな」
「エルリダの森!?」
森の名前を聞いたとたんマリスの驚いた声が聞こえた。
何をそんなに驚いてるんだ?
「そこって迷いの森でこの町の近くじゃ一番魔物が出る
って有名なところだよ!!」
「そうなのか!?」
「うん。もう何人もの人が帰ってきてないんだから・・・」
なんか本当にやばそうなところだな・・
「だがその森を通らない限り向こうには行けない。
それに、あの森がやっかいなのは霧が掛かっているということと
迷路のように入り組んでいるということだけなんだ。
人が近づかないから盗賊なんかも出ないし特別強い魔物もいない。
ほかのルートは手強い魔物がいるんだ。今の俺達じゃ倒せない。
ある意味一番安全なルートだな」
「そっか・・だったら森の方がいいな!迷ったら木を切り倒せばいいし!」
「「それは駄目だ(よ)」」
・・・・ちぇ。いい案だと思ったのに。
まぁどっちにしてもレイソルがああいってるんだし大丈夫だろ。
マリスは心配そうだけど俺は別に心配していない。
だってレイソルが間違ったことなんてほとんどないから。
「じゃあさ、今日は遅いからとりあえず明日出発にしよ?ね?」
でもマリスはまだ心配しているのか俺達に明日出発することを進めた。