「うわーすっっげー!!」
俺とレイソルは今、エルサントを探索中。
この町はレイソルの言っていたとおり、
木や花がすごく多い街だった。
俺の住んでいたセファイの村も緑は多かったけれど
少し感じが違う。
セファイはほんとに自然の中。そのままの草木、そういう感じだった。
でもここエルサントは少し人の手が入った華やかな緑・・・って
いうのかな・・とにかくすっげーいいところだ。
「この前来た時よりも花が増えているな」
「そうなのか?」
「あぁ。これからもっと増えるんじゃないか?」
「へぇーすごいな・・・」
今でもこんなにたくさんの花や木があるのに・・・・
「そうだ、ロイド。少し買い物をしていこう」
「え、なんで?」
「エルサントは緑が豊かだから環境がいい。
食材もいいものが多いんだ。それにここら辺では一番発展してる町だからな。
いい買い物が出来るかもしれないぞ」
「そうなのか!面白そう、早く行こうぜ!!」
俺は村から出たことがないから、薬草とかそういったものは道具や出しか見たことがない。
だからほかに何が売ってるのか気になったんだ。
「よし、じゃあ行ってみよう」
さっきいた場所から少し歩くとそこにはさまざまな店が並んでいた。
「なぁなぁ武器屋行こうぜ!」
「あぁ」
一目散に武器屋へとかけていく。それだけ武器屋はいってみたかった。
「いいなーっかっこいい!!」
そこには村では見たことないような武器がたくさんあった。
剣、槍以外にも弓や銃、斧とか杖まで・・・・
俺はたくさんの武器を見るのに夢中になってしまった。
「ロイド、決まったか?」
「え、うーん・・・えーっと・・あ!!これ!これにする!」
やっぱり買い物は直感が一番だよな!
ピンときた剣をレイソルに渡す。
「すみません、これください」
「はい、2500Gね」
「え・・・・・・」
2500G・・・?えっと俺たちの持っている金はちょうど2000G・・・ってあと500G足りない!!
「あ、えっと・・・やっぱりいいです・・」
レイソルは苦笑いを浮かべて剣と槍を元にあった場所に戻す。
欲しかったなぁ・・・。あの剣・・・・
俺とレイソルは諦めて店を出ようとした。
「ちょっと待って!」
「え?」
「あなた達お金が足りないんでしょ?何G?」
「えっと・・500Gですけど・・・」
「そう、なら500G分うちでアルバイトしていかない?」
店主らしき人はそういった。
・・・・・って事は・・・・・・・・・・
「そのアルバイトしたら剣と槍くれるのか!?」
「えぇ、いいわ」
「ほんとか!やったー!!やろう、レイソル!!」
「・・仕方ないな」
レイソルはしぶしぶといった感じでうなずく。
この人の言うアルバイトとは店の商品をお客さんに届ける、
といった仕事だった。
俺とレイソルが別れて、町で商品を届け続けて2時間後――・・・
「ふぅー・・」
「これで最後よ。呪文書屋のマリス・・・・じゃなくてマリスミゼルに
届けてちょうだい」
最後の届け物はきれいな装飾のついた杖だった。
「はーい」
俺たちはもらった地図を頼りにマリスミゼル?がいる呪文書屋に向かう。
ついたのは店の周りに花壇がたくさん置いてある店。
呪文書屋って言うからもっとこう・・・・まがまがしいと思ってたのに。
想像とだいぶ違うな・・。
「すみませーん」
とりあえず店に入る。さっさと終わらせて武器をもらいたいからな!
「はーい!ちょっと待ってくださーい!」
店の奥から出てきたのは左で髪をひとつにしばった
俺と同じくらいの女。
「えっと・・・?」
「俺たち武器屋のアルバイトです。マリスミゼルさんですか?」
「あ、はい。そうですよ」
「これ、商品です」
「ありがとう!!私これすっごく楽しみにしてたの!」
マリスミゼルはレイソルから杖を受け取るとうれしそうに笑った。
「お金は・・・」
そういって代金を払うマリスミゼルの指には指輪がはめられていた。
「それって・・・」
「え?あ、この指輪?」
「うん。なんでだろう、なーんか気になるんだよなぁ」
別に指輪をしていることは特別変わってる訳じゃない。
確かにあまりつけてるやつはいないけど・・・
マリスミゼルのつけている指輪からは何かを感じた。
「なぁ、その指輪何処で手に入れたんだ?」
「これ?んー気づいたら指についてたの」
「!!!」
俺はレイソルを見た。
きっとレイソルも同じことを考えているんだろう。
「その指輪が付いた時から特別な力が使えるようにならなかったか?」
「え、なんでわかる!?確かにそのとおりだよ」
マリスミゼルは驚いたようで目を丸くした。
指輪が付いた瞬間から特別な力が使えるようになったってことは
俺たちのと同じ指輪だろうな・・・・。
他にもいたのか・・・・・。この指輪を持ってるやつ。
「実は俺たちもその指輪を持ってるんだ」
俺たちはマリスミゼルに指を見せた。
「ほんとだ!!よかったぁ・・・同じ経験をしている人がいて。
マリスがおかしいのかと思ってたんだ」
にこりとマリスミゼルは笑い手を差し出してきた。
「もう知ってると思うけど、マリスミゼルって言うの。
マリスって呼んでね。二人の名前も教えてくれるかな?」
「俺はロイド。で、こっちが・・・」
「レイソルだ」
「これも何かの縁だね!二人ともよろしく!」
マリスは俺とレイソルと握手をした。
「ところでロイドたちは見たことない人だけど
旅をしているの?」
「そうなんだ。実は俺達の村魔物に襲われてさ。
そのときにクレアーラ騎士団が助けてくれたんだけど
俺、騎士団の本部が見てみたくて。それにこうやって
旅してれば、いつかは指輪のことも分かるかと思って・・・・」
「そっか・・・すごいね・・ロイドとレイソルは」
マリスはそうつぶやいた。
何がすごいんだ?
「マリスは何かを知りたくても、そうやって
旅に出ることなんて怖くて出来ないや」
その言葉に俺は少し黙ってしまった。