その日の夜。家に帰った後、もう一度ぼーっと指輪を眺めた。
あの時みたく、光ってはいなかったけれど相変わらず紅い。
「んー・・・本当に何なんだよ・・。この指輪・・・・・」
ちょっととって見よくみようかな・・・ってあれ?ん?んん?
と れ な い\(^P^)/
「嘘だろ!?ふんっ・・・・はぁー・・。駄目だ。取れない・・・。」
それどころかさっきよりきつくなってる気がする。
なんなんだよ この指輪!ほんとに・・
まさか本当に呪いの指輪とか?
「わけわかんねー・・・」
とりあえず指輪をはずすのは諦めよう。
ぼふんとベットに倒れこむ。
今日はいろんなことがあったから疲れたな・・・・。
そのまま目を閉じると俺はいつの間にか眠りについていた。

「ん・・・・」
目を開けると朝日がいっぱいに広がる。
「まぶしっ・・・あー・・・・・」
眠い目をこすりながら窓を開けると
一気に目が覚めた。
「ふー・・そういえばレイソルに呼ばれてたんだっけ。
家に行って見よう」
昨日レイソルから言われたことを思い出した俺は
レイソルの家へと向かった。
ちなみに俺とレイソルの家は村の端っこにあって結構近い。
「レイソルー?起きてるかー?」
軽くノックすると仲からレイソルが扉を開けてくれた。
「ロイド。入って良いぞ」
「うん。おじゃましまーす」
レイソルの家に来るのは久しぶりだけどいつ来てもきれいだよな。
「なぁレイソル。見せたいものって?」
「あぁ。実は、これのことなんだ・・・」
レイソルはいつもつけているグローブをはずした。
「それ・・・・!」
「あぁ・・」
グローブをはずしたレイソルの右手の薬指には
蒼い宝石の付いた金色の指輪がはめられている。
宝石はしずくのような形をしていた。
色と形は違うけど紛れも無くこれは俺の持っている指輪と同じもの。
「ロイドの持っている指輪と同じものだ。・・と思う」
「なんで!?どこで、どうしてこれを!?」
「昨日ロイドが俺のこと助けてくれただろ?あの時実はもう一匹魔物がいたんだ
ほら、あの時俺いなくなっただろ?あの時・・」
あのときのことを思い出してみる。
たしかに、俺があの魔物を倒したとき。すぐ後
レイソルいなかったよな・・・
あのときか。
「俺も戦える力が欲しい、と思ったんだ。こんなところで死にたくないって。
そうしたらいつの間にかすごい力とこの指輪が・・・」
「そっか・・・。俺のときと同じだ。」
「そうなのか?」
レイソルは真剣な顔つきで聞いてくる。
「うん。俺も何もできないのが嫌で力が欲しいってすごく願ったんだ。
そしたら声が聞こえて・・・」
「・・・声?」
「頭の中に直接響くような感じの・・・」
「そうなのか?俺には聞こえなかったが・・」
「え!?」
てっきりレイソルもあの声を聞いたと思っていた俺はすごく驚いた。
あの声を聞いたのは俺だけでレイソルは聞いてない?
なんで?俺はあの声の主が指輪を・・力をくれたと思ってたのに・・・・・
そうじゃないのか?そもそもどうして俺にだけ声が聞こえたんだ?
「ロイド?どうしたんだ?」
「え?あ、ごめん。なんでもない」
いつの間にか俺は考え込んでしまったみたいだ。
「大丈夫か?」
「うん。大丈夫」
「そうか。なら、村の修理を手伝いに行こうか」
「そうだな!早く村が元に戻って欲しいし」

俺とレイソルの家は平気だったけど、昨日の襲撃で
崩れた家があったりして、それを村人全員が協力して
直そうとしていた。早く復興しなきゃだな!
俺とレイソルが外へ出て広場へ行くと、そこには団服を着た人達がたくさんいた。
「だれだろう?」
「あれは・・・クレアーラ騎士団?」
「クレアーラ騎士団??」
「あぁ。王都をまもっている騎士団だ。」
「へーぇ。こんなところの復興にまで手を貸してくれるのか。」
普通は自分達の範囲でだって来るかも分からないのにな・・・
「クレアーラ騎士団って良い奴等だな!!」
「ちがうわ」
「へ?」
振り返るとそこにはピンクの髪をしたツインテールの少女。
俺より幼く見えるけどちゃんと団服を着てる・・・。
「あたし達がすごいんじゃないの。リフレイン様がすごいのよ!!」
「リフレイン・・・様?」
「そう!私たちクレアーラ騎士団の団長。たとえどんな小さな村でも
そこで困ってる村民がいるなら絶対に助ける。誰も見捨てないすごい人なの!!」
「そうなのか・・・・」
リフレイン。クレアーラ騎士団団長。
そんなすごいやつがいるのか・・
「こうやってこの村に来たのもリフレイン様がおっしゃったからなのよ。」
「おいサミュエル!さぼってないでこっち手伝えよ」
「うるっさいわねアイル!さぼってたわけじゃないわよ!!」
「はいはい」
「まったく・・・。じゃあね。あなた達も頑張りなさいよ」
"サミュエル"と呼ばれたその少女は"アイル"というやつに呼ばれて行ってしまった。
「・・・・俺達もやるか」
「うん。そうだな」

村の復旧作業は夜まで続いた。
村はまだボロボロでとても直りそうもないけど、
それでも村の皆は明るくて、俺は前よりこの村のことが好きになったんだ。

次の日の朝。俺は珍しく早く起きて、
朝から働いているだろうレイソルのところに向かった。
「レイソル!」
「ロイド。どうした?」
「うん、あのさ・・・」
「?」
「俺、旅に出ようと思う」
「え・・・・・・」
旅に出たい。そう思ったのは昨日のことだった。
「どうして急に?」
レイソルは珍しく少し驚いている。
まあ、いきなり旅に出る、なんていわれてもな・・・。
「ん、実はさ・・・。昨日サミュエルって奴がリフレインのこと言ってただろ?」
「ああ」
「おれ、リフレインって奴に会ってみたい。それに、困ってる奴を助けたいんだ」
「・・・・・・」
「俺のこの、指輪の力。この力があれば困ってる奴を助けることもできると思うんだ。だから・・・」
「そうか」
反対、されるかな・・・。まあ、反対されても俺は行くけどな。
俺の決意は固いんだ!
それからしばらくの沈黙。そしてやっとレイソルは口を開いた。
「決意は固そうだな。行ってこいよ」
「それじゃあ!」
「ただし!ひとつだけ条件がある」
「?」
「俺も連れて行くこと、だ」
「レイソルを?」
「それがだめなら、行かせられないな」
それって、レイソルもついてきてくれるってことだよな?
「もちろん!むしろついてきて欲しいくらいだ!ありがとう、レイソル!!」
「どういたしまして」
「じゃあ、旅に出る日いつにする?」
「おいおい、落ち着け。」
落ち着いてなんかいられるか!
旅に出られるんだ!
小さい頃から、ずっと行きたかった旅に。それもレイソルと!

「じゃあ、いつ出発する?」
「そうだな・・・。一週間後の昼前。その時間にこの村を出よう」
「わかった!よし、じゃあ今から準備しなきゃな!」
旅に出る日は一週間後。その日が待ち遠しくて仕方ないな!



それから一週間。村の復興やら何やらですごく早く過ぎて・・・
気づけば旅に出る日になっていた。
「レイソル!」
「ロイド。よし、遅れずに来たな」
「もちろんだろ!!」
「持ち物も・・・・よし。じゃあ出発するか」
「おう!」
村を出る前、一度だけ振り返った。
だいぶ魔物が襲撃して来る前に戻ってる。
俺は今までずっと村にいたからこの場所から離れるのはやっぱり寂しい。
でも、それでも旅へのわくわく感は俺の中で大きかった。
「ロイド。まずはエルサントに向かうぞ」
「エルサント?」
「あぁ。ここからは一番近い町だが緑のきれいな町で貿易も盛んだ。
まずはそこでもう一度旅の支度を整えよう。」
「わかった!じゃあ出発だ!!」
俺とレイソルはエルサントに向かって歩き出した。
外に出たことのない俺にとってはすべてが初めての経験。
しばらくしたら、少し前に感じた寂しさもどこかに行ってしまった。
旅に出ることができてよかった!
ほんとすげー楽しいよ!!
「ロイド、見えたぞ」
「?」
「ほら、あれ」
「あ」
少し遠くに町が見えるってことは・・・
「あれがエルサントだ」
目的地はもうすぐそこだ!!





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