ズル休み〜幼馴染編〜
少し前から霧野の様子がおかしい気がした。
そう、狩屋、という転校生が来てから。
でも気のせいだと思った。だけど………
「浜野、今日俺と霧野は部活休むから皆にそう言っておいてくれ」
「え、ちょ……」
「行こう、霧野」
「おい、神童!?」
はっきり言って俺が部活を休むのは珍しい。
だからなのかわからないけど浜野が珍しくすごく焦ったようだった。
半ば無理矢理霧野を部室から連れだした俺。
どうしても霧野と二人で話がしたくて。
学校を出て少し先の公園で足を止めた。
「神童?どうしたんだ、部活までサボるなんて…。お前のことだから理由があるんだろ?」
霧野は無理矢理連れだされたのに怒らず、逆に俺を心配する。
昔から、変わらない。
自分のことより他人…特に俺のことを優先する。
「最近、霧野の様子がおかしかったから。少し気になったんだ」
俺が霧野と話したかったこと。
霧野の様子がおかしい。
それは狩屋が入ってきてからだった。
いつもなら絶対にやらないことをやったり、狩屋につっかかったり……
様子がおかしいのはすぐにわかった。
でも。
先輩に言ったら「気のせいだろ」とか「イライラしてるだけで、そういうときは誰にでもある」と言われたから、俺はそうなんだろうと思った。
霧野は普段そんな姿を見せないから気付かないだけでそういうときもあるんだって。
だけど月山国光戦が終わった後……
≪お疲れさまでした。霧野先輩≫
≪剣城……。ああ、ありがとな≫
二人のやり取りを見たから。
その【お疲れ様】は試合に対してのものじゃないとなんとなくわかったから。
俺の思い違いじゃなくて、本当に霧野に何かあったんだってわかった。
それに気付いたのは俺じゃなくて、剣城だったってことも……
「神童…?」
「なんでもない。それより何かあったのか?」
「何かって…何もないさ」
「ほんとに…?」
「ああ。それに、お前は俺一人なんかを気にしてるわけにはいかないだろ?チームのことを気にしなきゃ」
「………っ!」
【俺一人なんか】
霧野のその言葉を俺は今まで何回聞いただろう。
いつも、いつも。
俺のことなんか。それよりお前のことを。皆のことを。
そう言って霧野はいつも笑う。
自分なんてどうでもいいように………
「お、おい神童!?何泣いて…」
「霧野は…いつもそうだ……っ」
「え?」
「なんで、俺に心配させてくれないんだ。弱みを見せてくれないんだ!」
「…」
「俺だって、お前が辛いとき、お前が俺にしてくれるように支えることが出来る。話だって聞ける!
なのに…お前が言ってくれないと俺はお前の力になれないじゃないか!」
「神童……」
「確かに俺は泣き虫で、頼りないけど。何もできないかもしれないけど。
でも!話を聞くくらいならできる。相談にのることもできるんだ!だから……一人で抱え込むな…」
一人で平気なわけないのに、平気そうな顔、するな………。
その言葉はでなかったけど。
伝えたかったことは、伝わった…?
これが今の俺の精一杯だから。
「……ごめん」
「…きり、の」
「お前がそんなこと思ってたなんて、気付かなかった…。神童に心配かけないようにしてたつもりが逆にもっと心配かけてたなんて」
「……」
誤らせるつもりはなかった。
また、俺は……………
「……ほんとのこと、言ってもいい?」
「ああ…」
「月山国光戦まで、ほんとに辛かったんだ。誰も信じてくれないし、気付いてくれないし」
「………うん」
「でも、ほんとはあいつ良い奴みたいだし。テクニックも確かにある。だから今はもういいかなって思ってる」
「…うん」
『あいつ』それはきっと狩屋のことだろう。
名前を出さないのはわざと。
霧野の優しさだと思う。
「それより、神童が俺のこと、そんなに思っててくれたのが嬉しい」
「霧野………」
「ありがとな、神童。 」
「えっ……」
「はは!丁度いいから久しぶりに遊びに行こうぜ!」
「お、おい!待て霧野っ」
少し前までの雰囲気とはがらりと変わり明るく笑う霧野。
ありがとう。その言葉に続いたもう1つの想い。
≪だいすき≫
その【すき】は。
きっと、俺と同じ想い………
そう、信じてる。
――――――――――
随分前にあげたズル休みの拓蘭拓(?)Verです。
男前蘭丸かっこいいですよね!
私は拓蘭が結構好きなんですが男前霧野が好きすぎて蘭拓になっちゃいます笑
でも最近神童が信長とミキシマックスしてから不安定な霧野がいて、
前よりかっこよくなった神童もいて、霧野のことをすごく気遣ってる狩屋もいて……
私としてはとても嬉しい感じですね!
あ、でももうジャンヌとミキシマックスしたのでこれからまた男前霧野復活ですかね。
とりあえずこの3人の関係すごく好きなので今度は3人で何か書きたいです。
長々と失礼しました。
何かご意見、ご感想あれば拍手、BBSよりどうぞ。