ため息






80年前の世界。
円堂守たちとサッカーをして、俺達は負けた。
その罰として今は一カ月の謹慎処分中。
サッカーをすることはできない。

「はぁ〜……」
「ちょっと、ため息つくのやめてよ」
「んー…」
「…ったく」

俺の目の前でミストレは不機嫌そうに肘をつく。
そりゃそうだよな。一緒にいるやつがため息ばっかりついてたらいい気分はしねえ。
というかなんで俺はこいつと一緒にいるのかってとこが疑問だ。
別に俺とミストレは仲がいいわけじゃない。
むしろあんまり仲がいい方とは言えない。
顔を合わせば喧嘩することが多いしな。
俺は喧嘩っ早いし、あいつは俺のことが気に入らないみたいで突っかかってくる。
口喧嘩はほぼ毎日。ひどい時には2、3日口をきかなかったりする。
なのになんで。

「なに」
「……いや、なんでも」
「はぁ?」

じっと顔を見てたらちょっとキレられた。
こいつも短気だよな。
こんなときバダップなら…。
この場にいない相手を思っても仕方ないけど。
でも、もし…なんて考えたりして。
ここにあいつがいたら。
もしかしたら慰めてくれたりしたのかな…
そしたら、あいつが慰めてくれたらもしかしたらこの憂鬱な気分が無くなるかも。
…………ありえねーか。

「はぁぁぁぁぁぁ」

今までで一番長い溜息。
そんなこと、ありえないんだ。

「!!?」

横から突然机を叩きつける音。
顔をあげて横を見ると前に座ってたはずのミストレ。
しかもかなりいらついた様子で。

「おい、どうし……」
「あのさぁ、さっきからため息うるさいんだけど」
「え……」
「人といるのに失礼だと思わないの?」
「いや、それは……っ」

俺が言い終わる前にミストレは俺の顔を覗き込んだらしい。
息のかかるほど近くにミストレの顔。

「っ!」

なにしてんだ、こいつ…!
一瞬、心臓が止まりそうになった。
至近距離でミストレの顔はやばい。
だってそこらへんの女優よりもきれいな顔をしてるんだから。

「ねえ」
「!」
「俺だけを見ろよ」
「あ、え……!?おいっ」

ミストレはそれだけ言ってどっかにいっちまった。
な、な、な、なんだあいつ…!
意味わかんねぇ!
あいつだけを見ろって、それじゃまるで…………!
いや、ありえねえ。あいつに限ってそんな。
あんな、ヤツ………

「ありえない……」

そう、ありえない。
でも。
心臓はまだばくばくいってて………
顔は熱くて。
これじゃあまるで………………

「あーくそっ!これからどういう顔して会えばいいんだよ……」

初めて見たあいつの真剣な顔と声。
それに俺はすべてをもってかれたらしい。

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リクエストくださった方、ありがとうございます。そしてごめんなさい!
5ヶ月も書くことが出来ず本当に申し訳ないです。
こんな感じでよろしいでしょうか?
なんだか最初エス→バダみたいになってしまいましたが……
ご不満があったら言ってくださいね。
この作品はリクエストくれた方のみお持ち帰りOKとさせて頂きます。