君の隣






今日のプロミネンスとダイヤモンドダストの練習試合。
俺達プロミネンスはダイヤモンドダストに負けた。
そんな試合の中。
俺は少し違和感を覚えた。
その違和感の正体を確かめに俺はダイヤモンドダストのキャプテン、ガゼルの元へと向かった。

「おい、ガゼル?はいんぞ」

扉を軽くノックしても返事が無かったので中へ入る。
居ないのかとも思ったが、扉のカギは開いていて、ガゼルはちゃんと中にいるらしい。
部屋の中は何の明かりも付いていなかった。
近くの壁を手で触り、手探りで電気のスイッチを探す。
電気をつけると部屋の隅で蹲っているガゼルが見えた。

「おい」
「っ!」

誰かが来るとは思ってなかったのか、それとも俺が来たからなのか。
どっちかわかんねーけどガゼルは目を丸くしたあと、急に立ち上がった。

「なぜ私の部屋にいる…」
「何でって…今日の試合のとき、ちょっと気になったことがあってな」
「…わざわざ部屋を訪ねる必要もないだろう。それに私達は敵同士だぞ」
「そうだけどよ…」
「だけどなんだ」
「……お前の様子が変だったから何かあったんじゃねぇかと思ったんだよ」
「な…っ」

きっとほかの奴は気づいてない。
でも、俺は気付いた。
だって、例え今敵同士だとしても、今までのことが消えるわけじゃないだろ。
今までずっと一緒に居たんだ。
他の奴らが気付かない少しの違いも、俺はわかる。

「何かあるなら俺に…」
「うるさい」

俺の言葉遮るようにしてガゼルが強い口調で言う。

「ライバルチームなんだ。気にする必要などない。むしろ好都合じゃないか」

そうだろう?
嘲笑うような表情でガゼルは続ける。
確かにガゼルの言うとおりだ。
俺と、ガゼルはライバルチーム。ジェネシスをめぐっての。
そのキャプテンの調子が悪いのはむしろ好都合だと喜ぶべきかもしれない。
でも…

「それでも心配なんだよ!敵チームとか、そんなの関係ねぇんだ!」
「!」

ガゼルが苦しんでいるのになにもできないのは嫌だった。
ただ見てるだけなんて、できない。
驚いて見開かれた目が少し潤んでいるように見えた。
口を開いたり閉じたりするガゼル。
まだ言おうか言わないか迷っているんだろう。
だったら…

「なっ!おい、バーン!離せ!!」
「嫌だね」

俺はガゼルを抱きしめた。
突然のことにガゼルはじたばたともがきながらなんとか俺の腕の中から逃れようとする。

「いいかげんに…っ」
「こうしたら顔見えねぇから。話してくれよ…」

ぴたりとガゼルの動きが止まった。
こいつが話しにくかった理由。
そのひとつがこれじゃないかと思う。
プライドの高い奴だから……
自分の弱いところを他人…特に俺なんかに見せたくないんだろう。

「………こないだ、沖縄で私、イプシロンに罰を与えたんだ」
「ああ」
「それを、罰を与えてイプシロンが消えた、とあの方に報告したとき……
あの方は何も感じていなかった…!私達はあの方の子供なのにまるで、
まるで駒が1つ亡くなっただけみたいに…っ」

ガゼルの体が小さく震えていた。

「私、怖いんだバーン。私達が負けた時もあの方はあんな反応をするのかと思うと…。
イプシロンも、プロミネンスも、ダイヤモンドダストもあの方にとっては1つの駒にすぎないのだと
改めて思い知らされた………っ」

それは、俺も、こいつも何となく前から気づいていたことだ。
父さんにとって俺達は別にどうでも良い存在なのかもしれないってことは…。
だけど、ガゼルは今回、目の前でそれを見せつけられてしまった。
"なんとなく"だったのが"確実"に変わってしまった。

「私は、私達は、やっとできた繋がりを絶ってあの方についてきたのに!
なのに駒としてなんて…!もうあの頃には戻れないのに!
デザームも、レーゼもいなくなってしまった!みんな…みんないなくなってしまう……。
私は…一人に、なりたくはない…っ」

肩にぽたりと冷たいものが落ちた。
ガゼルが泣いてる。
″一人″というのはそれだけガゼルにとって怖いものなんだ。
いや、ガゼルだけじゃねぇ。ここ、エイリア学園の生徒にとっては…。

「…大丈夫。大丈夫だ、ガゼル」
「……っ」
「みんないなくなったとしても、俺はいなくならない。ずっとお前の隣にいる。約束する」
「バー、ン…」

ガゼルを抱きしめる力を強める。
これで、少しでもガゼルの不安が無くなればいい。
そう思った。

「ばかバーン」
「なっ!!」
「ずっと隣になど、入れるはずないだろう」
「うっせーな!いるったらいるんだよ!!」

ガゼルは俺の肩辺りに顔をうずめながらそう言った。
まだ少し鼻声だけど、さっきより元気はでたみたいだ。

「仕方ないな。信じてやる。そのかわり…絶対、ずっと隣にいてもらうぞ。できるんだろう?」
「ふん。上等!」

そう言って俺達は笑いあった。
いつかこの″宇宙人ごっこ″が終わってプロミネンスのバーンとダイヤモンドダストのガゼルじゃなくなったとき。
そのときもきっと俺はこいつの隣にいる。
そして、それからもずっと。
誰にも譲らない、俺だけの場所………






こ、こんな感じでよろしかったでしょうか…?
もう駄文すぎて申し訳ないです。
ですが、バンガゼは私もとても好きなCPですのでとっても楽しく書かせて頂きました♪

リクエストして下さった方、ありがとうございました!
感想あったらお待ちしてます!